短納期だとしても高品質を維持できるか。無事故で安全に終わらせられるか。現場にいる大勢の人間をまとめ、計画書通りに工事を進めるためにはどうすればいいか。進行をひとつ間違えばスケジュールが狂う可能性があるなか、やり遂げたときの高揚感を存分に味わえる。それが司令塔という役割をもつ現場監督の仕事です。
思い出深いのは、銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX」の立体駐車場を建てるという案件。人生で最もスケジュールに余裕のない案件でした。時間との戦いです。本当に綿密な計画を立てていました。どれほど細かかったかというと、運ばれてくる機材を現地でスムーズに降ろせるよう、トラックへの機材の積み方まで指示していたくらいです。当時は1日中工程のことを考えていて、仕事から家に帰ってお風呂に入っているとき、指示出しを忘れていたことを思い出して慌てて飛び出したことがあるくらいでした。
小さなほころびですべてが止まる緊張感のなか、「GINZA SIX」の案件はなんとスケジュール通りに終えることができたんです。もちろん無事故ですし、品質も上々の出来。当初は24時間稼働しても終わらないんじゃないかと思われていたのですが、休む時間も取りつつ終えられたものですから、当時の担当者から「魔法でも使ったんですか!?」って言われました。あのときは、なんともいえない充実感に満たされましたね。
現場監督に求められるスキルはいろいろありますが、大切なのはイメージ力。未来から逆算して何をすべきか考える力ですね。未来をイメージするためには、全体の仕事をまず経験する必要があります。私自身、電気・機械の両方を経験しましたし、監督業も営業も経験しました。すべてを体験したのが入社5年目のとき。当社ほど幅広く技術を身につけられる企業は、関東で他に1社あるかないかくらいです。
幅広く技術を獲得できる仕事です。技術というのは何も手を動かすことだけではありません。現場監督の管理も含めて技術です。初めから「これだ!」と決めつけずに、いろんな経験をしてほしいです。そのなかで、現場監督に専念する人、営業をする人、現場業務を追求する人など、自分の適性と照らし合わせながら将来のキャリアを選んでほしいです。